救急車のサイレンの音をきいていると、自分を通り過ぎたとたんに音が変わります。
不思議に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
この通り過ぎたとたんに急に音が変わるのはドップラー効果という現象によるものなのです。
この記事では、ドップラー効果ってどういう現象?
そしてドップラー効果がなぜおこるのか?についてわかりやすく説明していきます。
ドップラー効果とは
ドップラー効果とは、
「波の発生源、またはその波を受け取る側が動いているときに、受け取る側の感じる周波数が変化する現象」
のことをいいます。
いきなりこの説明では波?周波数? ???となってしまうかもしれません。
だいじょうぶです。
音と波・周波数の関係について先に説明することにしましょう。
音と波・周波数の関係についてご存じの方は読み飛ばしても大丈夫です。
そもそも波ってなに?
波ときいてまず何をイメージしますか?
身近な波といえば、水面にできる波ではないでしょうか?
海の大きな波や、池に石を落としたときにできる小さな波がそうです。
池に石を落としたとき、落とした場所からだんだんと遠くに波が広がっていきますよね。
このように揺れを周りに伝える現象が波なのです。
そしてこの水面の波を横からみるとこうなっています。
波は同じ形を繰り返して揺れを伝えていきます。
音と波・周波数の関係
じつは音もさきほどの水面の波と同じように空気中を伝わりながら進んでいるのです。
空気なので目には見えませんが、空気の振動が音の正体です。
そして周波数というのはこの波の揺れる回数のことなのです。
同じ時間でみたときに、周波数が高い波というのは揺れる回数が多い波。
反対に、周波数が低い波というのは揺れる回数が少ない波です。
そして人間の耳には周波数が高い波ほど高い音に聞こえ、
周波数が低い波ほど低い音に聞こえるのです。
ここまでが、音と波・周波数の関係です。
整理すると
・音は空気中を伝わる波である
・周波数が高いと高い音に聞こえる
・周波数が低いと低い音に聞こえる
ということです。
ドップラー効果による音の変化
救急車のサイレンの話に戻りましょう。
あらためてドップラー効果とはどのような現象だったか思いだしてください。
「波の発生源、またはその波を受け取る側が動いているときに、受け取る側の感じる周波数が変化する現象」でした。
今回のケースでは
「波の発生源」は救急車です。
「波を受け取る側」というのは、サイレンの音を聞いている自分ですね。
「受け取る側の感じる周波数が変化する」とはつまり聞こえる音の高さが変わるということです。
今回のケースでは、動いているのは救急車だけで自分は動いていません。
言い換えると、「救急車が動いているときに、自分に聞こえるサイレンの音の高さが変化する現象」ということになります。
ではどのように変化するのか下の図を見て下さい。
救急車が近づいてくるときはサイレンが高く聞こえ、遠ざかるときは低く聞こえることになります。
なぜドップラー効果が起こるのか?
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
まずは救急車が止まっているときについて考えてみましょう。
音の発信源である救急車が止まっているとき、音の波は周りに均等に広がっていきます。
そのようすを表したのが下の絵です。
円は音の波の広がりを表しています。数字は音の波の発生した順番を表しています。1の波が最初に出た音で、2の波はその次に出た音です。聞いている人にはそのまま1の波の音が最初に聞こえ、その次に2波の音が聞こえます。
では次に、救急車が近づいてくるときを見てみましょう。
最初の音の波が発生した状態です。
1の波が発生したあと救急車は前に進んでいるので、2の波3の波の発生する場所は聞く人に近づくように前(この絵では右)に進んでいます。
同様に4の波5の波も右に進んだ場所で発生し、結果として波の間隔が小さくなっています。
波の間隔が小さくなる = 波長が短くなる → 私たちには高い音に聞こえるというわけです。
救急車が離れていく場合も同じように見てみましょう。
さっきとは逆に1の波を出した後、救急車は遠ざかるので、波の発生する場所も聞く人から遠ざかります。結果として波の間隔が大きくなっています。
波の間隔が大きくなる = 波長が長くなる → 私たちには低い音に聞こえるというわけです。
まとめ
ここまでなぜ救急車のサイレンが近づくときと遠ざかるときで音が変わるのかを見てきました。
まとめるとこういうことになります。
・音は近づくときは高く聞こえ、遠ざかるときには低く聞こえる。
・音の高さが変わって聞こえるのはドップラー効果が発生しているから。
・ドップラー効果によって、近づくときは音の波が圧縮され波長が短くなる。
・ドップラー効果によって、遠ざかるときは音の波が引き延ばされ波長が長くなる。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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