山の上に登ると空気が薄くなります。上に行けば行くほど、そこより上に積み重なっている空気の量が少なくなるからです。
空気は地球の引力によって地球の周りにつなぎとめられていますが、空気はどれくらい上空まで存在しているのでしょうか?
この記事では、地球の空気はどのくらい上空まで存在しているのか?
また天気予報などでよく聞く言葉である「大気」と空気の関係についても説明していきます。
地球の周りを取り囲んでいる気体全体をさして大気と呼ぶ
まず大気という言葉から説明します。大気というのは地球を取り囲んでいる気体全体をさして呼ぶ言葉です。そして大気が存在している範囲を大気圏と呼ます。
じゃあ大気=空気なの?と思われた方も多いと思います。日常会話の使用ではそれでも問題ありませんが、学術的には区別されて使用されています。
学術的には、空気は大気のなかの地表近くのごく一部を指しています。つまり私たちが普段呼吸している範囲の大気ことです。
大気圏の構造
では大気圏がどのようになっているのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
一番地表に近い部分を対流圏と呼びます。地表と接しているため地表からの影響を大きく受けます。地表付近で空気が暖められると、その空気は上昇していきます。上昇した空気が今度は冷やされ、下降していきます。その結果、風が起こり、雲ができ、雨や雪が降ったりします。対流圏の中で様々な気象現象が起こっています。
対流圏の上は成層圏と呼びます。対流圏と成層圏の境目は場所によってことなり、地表から10~17km程度となっています。長距離の飛行機は高度10km付近を飛んでいます。成層圏では常に天気がよく安定しています。大気が薄くなることで抵抗が減り、飛行にちょうどいい条件がそろうからです。
中間圏では大気は地表付近の1万分の1程度になります。
その上、80~800kmの熱圏では上空にいけばいくほど気温が上昇します。
低高度の人工衛星はこのあたりの高度200~1000kmを飛んでいます。
外気圏は気体分子がかろうじて存在している範囲です。外気圏では気体分子が宇宙空間へ放出されています。
どこからが宇宙なの?
大気圏と宇宙空間の境は先ほどの図では高度10,000kmとなっています。ここより上が宇宙なのでしょうか?
人工衛星は宇宙空間に浮かんでいるイメージがありますが、国際宇宙ステーションは高度400kmなので、まだ大気圏の中ということになります。
実は宇宙空間がどこからというのは考え方によってさまざまな定義があります。
先ほどの図に高度100kmのカーマン・ラインと呼ぶ高さがあります。このあたりでほぼ大気がなくなるという高さです。国際航空連盟やNASAでは、この100kmより上空を宇宙空間と定義しています。これが宇宙の境目の高さの一般的な取り決めとなっています。また米国空軍では80kmから上を宇宙と定義しています。
大気圏は地表から外気圏、そして遠い宇宙空間まで連続的につながっているので、実際には明確な宇宙空間との境というものはありません。
しかし、ルールを決めておかないと、さまざま活動がスムーズにいかなくなることがあるため、先ほどのような境目を設定しているのです。
大気圏のなかで起こっている現象
つぎに大気圏のなかで起こっている様々な現象に目を向けてみましょう。
対流圏のなかでさまざまな気象現象が起こっていることは先に述べました。
それよりも高いところで起こっている現象としては、
・オーロラ
・流れ星
・宇宙船の大気圏突入
があげられます。
これらはどのくらいの高さで起こっている現象かみなさんはご存知でしょうか?
オーロラ
オーロラは地上からおよそ100kmから500km上空に発生する発光現象のことです。大気の粒子が太陽からのエネルギーを得て発光することで起こります。
さきほど話に出した国際宇宙ステーションの高度は約400kmなのでオーロラを見下ろすことができます。
流れ星
流れ星は、宇宙を漂っていた塵(ちり)や小石が、地球の大気に突入して高温になり、そこで発生するガスが発光する現象です。発光が始まる高度は100~150kmで、先ほどのオーロラよりも低いところで起こります。ある程度の大気の濃さがないと、加熱が始まらないためです。
宇宙船の大気圏突入
SF映画などで、宇宙船の大気圏突入のシーンがでてくることがありますよね。すごい熱と振動が発生して、大きな負担が宇宙船にかかることが描かれています。
大気圏突入は高度120kmあたりから始まります。
流れ星の場合と似ていますが、宇宙船は大気圏突入前、宇宙空間を30,000km/hほどのスピードで飛んでいます。一秒間に8.3kmも進むようなスピードです。
このスピードのまま大気の層にぶつかると、宇宙船の先端部分の空気を一瞬で圧縮してしまいます。圧縮された空気は超高温状態になり、数千℃まで上がります。
まとめ
ここまで、地球の大気がどれくらい上空まであるかについて見てきました。おさらいしてみましょう。
・地表付近に存在している大気を空気と呼ぶ。この領域は対流圏とよばれ、様々な気象現象が起こっている。
・地球の大気は100km上空でほとんどなくなる。そのため100kmより上空を宇宙と扱うことが一般的。
・気体分子は10,000km上空でもかろうじて確認できる。この領域では気体分子が宇宙空間に放出されている。
以上です。参考になればうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント